大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

旭川地方裁判所 昭和49年(わ)69号 判決 1974年7月08日

本籍

北海道留萌市旭町三丁目五四番地

住居

同市住之江町一丁目

会社役員

久保田八十八

大正一〇年一〇月一六日生

本店所在地

右同市旭町三丁目五四番地

八印久保田水産株式会社

右代表者

久保田八十八

右被告人および被告会社に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官小清水義治、弁護人水原清之出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人久保田八十八を懲役一〇月に、被告会社を罰金一、五〇〇万円に処する。

被告人久保田八十八に対し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は北海道留萌市旭町三丁目五四番地に本店を置き水産物の加工販売等を営業目的とする株式会社であり、被告人久保田八十八は被告会社の代表取締役であるが、被告人久保田において、被告会社の業務に関し、被告会社の法人税を免れようと企て、売上げ、雑収入、期末棚卸商品の各一部を除外し、架空の仕入れを計上して、簿外預金を設け、被告人久保田の個人資産に混入する等の方法により所得を秘匿したうえ、

第一、昭和四五年四月一日から同四六年三月三一日までの事業年度において、所得金額が七五六九万四六二四円でこれに対する法人税額は二六七六万二九〇〇円であつたのに拘らず、同四六年五月三一日同市寿町三丁目一九番地所在の所轄留萌税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四八七二万九八八二円でこれに対する法人税額は一六八六万一〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税の差額九九〇万一九〇〇円を免れ、

第二、同四六年四月一日から同四七年三月三一日までの事業年度において、所得金額が五五六二万〇七六五円でこれに対する法人税額は一九七八万四三〇〇円であつたのに拘らず、同四七年五月三一日前記税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三四二万四〇八三円でこれに対する法人税額は四三〇万七五〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税の差額一五四七万六八〇〇円を免れ、

第三、同四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度において、所得金額が一億九二五三万〇〇〇七円でこれに対する法人税額は六八三五万七〇〇〇円であったのに拘らず、同四八年五月三一日前記税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億一七八七万〇四二二円でこれに対する法人税額は四〇九二万八九〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税の差額二七四二万八一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  登記簿謄本

一  久保田かつよ、横山こと金岩昭美、仲野健次、浅沼謹治、才野雅男、佐藤雄、三浦捷彦、加藤淳一、坂本昌光、手塚竹義、橘洋、原幸蔵、梶原幸重の検察官に対する各供述調書

一  次の者に対する大蔵事務官の各質問てん末書

浅沼謹治、渋谷昇、金子幸松

一  次の者作成の各上申書

浅沼謹治、渋谷昇、金子幸松

一  次の者作成の各答申書

丸山幸四郎、松井経勝、山田一蔵(但し反保隆男と連名)、奥芳雄(二通)、高井勇、浅井浩、安井克治、朝倉守、寒河江政太郎、三国久四、荻洲隆丸

一  「税の課税状況について(回答)」と題する書面二通

一  矢沢開介作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一  検察事務官作成の各報告書

一  大蔵事務官作成の各調査事続報告書(但し、甲30は抄本)

一  次の者作成の各証明書

稲葉良雄、浅井浩、大川一男、佐藤春夫、松下錬、橋本正雄

一  大蔵事務官作成の「現金有価証券等現在高確認書」

一  脱税額計算書三通

一  押収してある次の各証拠物(押収番号はいずれも昭和四九年押第二四号で、括弧内に該符号のみ記載)仕入帳売掛帳(昭和四五年度)一綴(1)、売上仕入売掛買掛帳(同四六年度)一綴(2)、売上帳買掛帳(昭和四七年度)一綴(バインダー式のもの)(3)、総勘定元帳三冊(4乃至6)

(法令の適用)

一  判示所為

被告人久保田につき法人税法一五九条(懲役刑選択)

被告会社につき同法一五七条、一六四条一項

一  併合罪加重

被告人久保田につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に決定の加重)

被告会社につき刑法四五条前段、四八条二項

一  執行猶予

被告人久保田につき刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 久米喜三郎)

右は謄本である。

昭和四九年七月一一日

旭川地方裁判所裁判所書記官

広瀬俊彰

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例